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【追究の有田本】No.55  「環境問題」の教材開発と授業

【追究の有田本】No.55をお届けします。
今回は、
『「環境問題」の教材開発と授業』1993年、明治図書
http://www.amazon.co.jp/dp/4184401066/

有田実践のなかで「環境問題」については、時代や社会の動きに合わせて内容が少しずつ変わってきているものである。長年の教材研究とその時の子どもたちへの授業実践を見ることができる。発刊当時における有田式環境教育…その考え方から学ぶところは大きい。

①環境問題の授業化~教師の考え方~
 環境問題の指導について、次のような課題があると有田先生は言う。
 1.教師の結論を「おしつけ」た授業になりやすい
 2.むずかしい問題や子どもの生活との接点がないものを取り上げることが多く、(子どもたちが)理解できない 
3.お先真っ暗というものばかりである

これらを克服した授業にしなければならない。そのために有田先生は、環境教育の充実には「子どもたちにいかに身の回りの環境問題に気づかせ、その解決のためにどんな行動をとればよいか考えさせること」であると書いている。また、正解が出ていないものが多い環境問題を授業化するためには、教師自身の新たな授業観を創り出さなければならない。即ちそれは「子どもの環境観をゆさぶり、子どもと共に環境問題を追究する姿勢」を大切にすることである。

②有田先生の授業技術から学ぶ
・論争にもっていける教材の条件→わかりきっているようで、実はわかっていないところをつく
 ①身近で、わかりきっているようでありながら、簡単に結論を出せないこと
 ②簡単にできそうで、実はなかなか実践できないこと
 ③子どもの経験が豊かで、経験を元にした具体的な話し合いが期待できること

・着色作業などをさせるとき、自由にしゃべらせる。すると、つぶやきがきこえてくる。これがなかなかおもしろく、あとで使える考えになる。静かに、だまって着色作業をさせている風景をみかけるが、子どもの思考活動を封じているようなものである。
・社会科、国語科なんでも関係のあるモノは関係させて考えさせると強いインパクトを与えることができる。
・「この生ごみは何時間くらいで臭いにおいを出すようになるでしょう」「実践できるか、その勇気はあるか?」

③村上浩一先生「授業の基本的な流れ」
モノ…子どもに身近で唖然とさせるモノ。子どもたちが食いついてくるモノ
  環境保護か便利な生活かの二者択一を迫るモノ

資料読解…モノだけでは環境問題を鋭くえぐれない場合

環境問題…身近なモノが環境問題につながっていることを知る。保護か破壊かのどちらかを判断させる

討論…自分の判断を述べ、その理由を述べる。どちらか一方に偏った場合、反対の立場を教師がとって論戦する。

判断…最終的な自分の立場を明らかにする。教師の意見を聞く。

家庭学習…家でじっくり考え直して、家庭学習ノートにまとめる。家でさらに詳しく調査する。

【追究の有田本】No.54 「はてな?」で総合的学習を創る先生

【追究の有田本】No.54をお届けします。
今回は、
『「はてな?」で総合的学習を創る先生』2000年、図書文化
http://www.amazon.co.jp/dp/4810003213/

本書は『「はてな?」で育つ子どもたち』の高学年版を意図して書かれたものであると、まえがきにある(実際には「まったく新しいものになってしまった」と記している)。総合的学習に対する構え・姿勢といったものを学ぶことができる。

① 総合的学習における指導
 ・学習技能は、教え込みでは身につかない。子どもが工夫し、考え、あるときつくり出す――それをめざとく見つけてほめる。これで広がりができる。
 ・子どもたちの知的好奇心を揺り起こす前に、教師自身の知的好奇心に火をつけることが必要
 ・「問い心」(「はてな?心」)を育てる 
 ・「児問児答」は究極のねらい  
・がんばり方を教えることが教育      ・授業は布石の連続…これが子どもを成長させる
 ・ひとつの教科だけでやるのではなく、すべての教科で学習技能を鍛える
 ・教科できっちりと基礎基本を身につけておくのだ

②総合的学習のすすめ方
 ・最初の第一時、つまり授業のはじめがうまくいくかどうかは「学習材の開発」にかかっている
 ・子どもが調べてみたい「はてな?」をいかに残していくか。
  →どんな「はてな?」を解決し、どんな「はてな?」を残していくか、これが教師の腕なのである

 ◎「教える」ことは易しい。しかし、「教えない」ことは、むずかしい。

 ・常に「本物をみよう」という姿勢を育てる…現場主義、実物主義、本物主義
 ・表現するときの注意…①面白くすること ②内容がきちんと入っていること ③分かりやすいこと

③教師の支援7箇条
 【第一条】「ねらい」をソフトに考え、子どもの動きに応じて変えられる先生
  子どもの状態をみて、さっと「ねらい」を変えられる教師は、子どもが見える、実力のある教師である。

 【第二条】基礎基本(18の学習技能)をしっかりとらえ指導する先生
  常に学習技能を意識して指導にあたる=「ねらい」をしっかり考えて鍛える

 【第三条】「はてな?」を発見することを常に考えている先生

 【第四条】ユーモアを理解し、子どものユーモアを引き出す先生

 【第五条】適度の抵抗を与え、それを乗りこえさせる先生
  「学ぶ」のは子どもでなければならない。苦労を乗り越えたときの喜びは大きい。

 【第六条】教材開発をして、子どもに面白く追究させる先生

 【第七条】「指導する」とはどうすることか、常に考えて指導する先生
  「指導する」…①みえない(わからない)→みえる(わかる)ようにする ②学び方(学習技能)を鍛える ③学習意欲を引き出す

学問とは「問うことを学ぶ」ことである。子どもたちには常に「問い心」を育てるようにしなければならない。

【追究の有田本】No.53 「はてな」で育つ子どもたち

【追究の有田本】No.53をお届けします。
今回は、
『「はてな」で育つ子どもたち』1989年、図書文化
http://www.amazon.co.jp/dp/4810091694/

有田実践を語る上で外せないもの、それが「はてな?」である。本書では、入学式翌日から3年生までの「はてな?」帳実践が記されている。また、前半には、有田先生が「はてな?」帳に行きつくまでの道のりが書かれている。「はてな?」帳の誕生までに長い過程があることを初めて知った。ここでは「はてな?」の書かせ方について、ポイントとなる考え方をまとめていく。

①「はてな?」が、文字を引き出す
 「はてな?帳」が先にあるのではない。子どもたちの「はてな?」があってこそのものなのである。一年生から始めるということは、「はてな?」を見つける第一歩のところから始めていく。そして、まずは、言わせるのである。子どもたちが「書いてきてよいか」と出てくるのを教師は仕掛け、待つのである。そして、一行から書いてきた一人・二人を突破口にしていくのである。あせらずしかも根気比べで、全員に書く力をつけることをめざすのだ。有田先生は言う「わたしが真にねらっているのは、文そのものではなく『見る目』を豊かにすることなのです。」この視点で指導をしていくことで、「はてな?帳」実践が実を結んでくのだろう。

②「はてな?」の書かせ方
・予想を入れる…「こう思っていたら、実際はこうだった」というものを文に入れるようにしよう
・はてな?に対する予想や答えを書かせる
・「どこがすばらしいか」をさがさせる
・ユーモアのセンスをみがく…みんなが「おもしろい」というような「はてな?」を見つけなさい
・保護者に理解してもらう…保護者会のたびごとに、おもしろい「はてな?」を準備しておいて話す
・調べたり、たずねたり、見学したりして「はてな?」を見つけて書きなさい
・実際にあったことを見て「はてな?」と思ったことを書きなさい
 →「見たことを書く」ということを大切にしないと、「はてな?」が行きづまってしまう。

③「はてな?」誕生
◎書きたくなるような内容をもてば、子どもは必ず書くものだ
→お話しの文→わたしの研究→見たこと→はてな?

【応答的環境】
 本書で何度も出てくる言葉である。応答的環境というのは「親や教師が子どものはたらきかけに対して、応答的に応えてやる」ことである。働きかければ応えてくれるという応答的環境が、子どものいろいろな能力ややる気・意欲・自主性といったものをつくり上げていくのを極めて大切なはたらきをしている。そのためには、子どもたちがはたらきかけずにおれなくなるモノを準備して、さりげなく与えることであり、それが「はてな?」の発見をうながし、深化させることになるのだ。

【追究の有田本】No.52 新教科書を補う 社会科の発展学習とは何か

【追究の有田本】No.52をお届けします。
今回は、
『新教科書を補う 社会科の発展学習とは何か』2003年、明治図書
http://amazon.co.jp/dp/4184181244

有田学級の子どもたちは、さりげなく且つ意図的に鍛えられていて、発展的内容にも喰らいつく「追究の鬼」へと成長していく。その発展指導のポイントが本書には書かれている。基礎的指導からどのように飛躍させていくかのステップのヒントを学ぶことができる。発展させていくための教材開発についてその実際がまとめられている。ここでは、発展学習へと迫っていくための考え方やポイントをまとめていく。

① 発展させて「書く」
 有田実践の有名なものである「おたよりノート」と「はてな?帳」。前者が基礎・基本で、後者が発展学習という考え方である。これらを学級経営の柱としていたのである。

 「おたよりノート」…視写⇒聴写 
❶連絡事項 
❷親に伝えたいこと
❸子どもに伝え、記録に残しておきたいこと ❹今日の出来事、子ども達の様子
❺予定 
❻時事問題 
❼季節の変化、自然のこと

 書いてきた「はてな?帳」に対して有田先生は「この内容と表現がいかにすばらしいかを認め、正確に評価」していった。「はてな?帳」実践から有田先生は「指導によっては、子どもには限界がないと思う。すごい腕がほしい。すごい腕があれば、どこまでも可能性を伸ばし、発展させることができる。子どもが発展をさせないときは、教師の腕が悪いのである」という。教師力を高めることによって、子どもたちの力を引き出し、発展させていくことができるのだ。

②基礎・基本を教えると子どもは自然に発展させる
 ①の「書く」においても基礎・基本から発展への流れが示されている。教師がきっちりと基礎・基本の指導をすることである。【応用の効く基礎学力】をつけることである。そして、応用発展のさせ方(知識や学習技能の倍増のしかた)を指導すべきである。そのためには教師は「教えることから逃げない」姿勢が必要となる。「与えるべき情報や知識は、きちんと与えて、それをもとにして問題・はてな?を掘り起こすことである。」

③教科書の発展教材を考えておく
 「これだけは何としても教えたい」と教師が考えたものは、まちがいなく基礎・基本である。そして、これらをクリアすれば、子どもたちは当然、次の段階をめざす。その時に、すぐに次の段階を提示しなければいけない。そうでなければ子どもの追究は途切れてしまう。次の段階の内容の提示こそ「発展的学習」となっていく。今の教科書だけで終わったのでは、学力を十分に伸ばすことにはならない。教科書を教えながら、クリアした子どもたちにどんな発展的内容を提示するか考えておかねばならない。

【追究の有田本】No.51 総合的学習のための子どもウオッチ

【追究の有田本】No.51をお届けします。
今回は、
『総合的学習のための子どもウオッチング術』2000年、明治図書
http://www.amazon.co.jp/dp/4180039109/

 有田先生の総合的学習に関する提案に説得力があるのは、蓄積された実践、子どもの事実があるだけでなく、有田先生の実践そのものが「総合的」に展開されているものだからであろう。だからこそ、総合的学習い関する内容でも、他教科・学級づくり・教師のあり方について学んだり考えたりすることがきる。有田本は、どれを見ても多様な学びが保障されている。あとは、読み手が自己の実践にどのように結びつけていくかだ。

①総合的学習における子どもウオッチング法
新しい世界が見えているか…身近な事例から世界まで発展させているか、目からウロコの落ちる事実と出会えているか、無知な気づき追究意欲が高まっているか、追究していくうちに新しいものが見えるようになっているか、偶然に「はてな?」に出会うことがあるか、「本当にやりたいこと」が見えているか、自分にできることは何かが見えているか、自分で創意工夫できる面白さに気づいているか

調べ方を工夫しているか…自分で問題解決できる面白さに気づいているか、教科で学んだことを応用できているか、調べ方を自分で決められるか、異学年の子どもと楽しく活動できるか、幼児やお年寄りとも楽しく活動できるか、グループをつくって調べられるか、校外へ出て調べられるか

追究する面白さがわかっているか…困難に出会いそれを乗り越えることができるか、教師が先回りして教えないことに喜びをもっていけるか、追究しても追究しても正解のない面白さに気づいているか、追究のスリルを楽しんでいるか、三振もするがホームランも打てる力があるか、作って食べて認識のかわる面白さを体得しているか、自分で学習材を開発できる面白さに気づいているか、他人と共に追究できるか、追究すると次々と発展する面白さに気づいているか

生き方を深めているか…好奇心をもつことの面白さに気づいているか、学習したことを生活に生かしているか、生活そのものが追究的になっているか、知識や学習技能がいつの間にか身についているか、目的をもってやりたいことができるようになっているか、他人のためにつくしている人に出会うことを楽しんでいるか、自分の仕事に打ち込んでいる人に出会って感動しているか、いろんな生き方をしている人に出会うことを楽しんでいるか、自分の成長を自覚できるようになっているか

子どもたちが問題をもつとき
1.なぜかな、おかしいな、どうしてかな…軽い疑問の段階
2.ことばで言い表せないが、行為にある方向性が生じ、行動的になる段階…「はてな?」(問題)をもった状態
3.めあて、見通しが立ち、解決の手がかりがとらえられる段階   
4.生活そのものが追究的になる

②授業構成のイロハ
・教材の全体を調べる。単元全体をまるごと調べる  
・教師自身が子どもの目で「はてな?」をさがす(稚心)
・道徳教育…毎日、毎時間が指導の場   道徳の時間…「どうしたらよいか」と考えさせ、判断の仕方を鍛える
・どんな社会情勢であれ、社会を変えていくのは「教育なんだ」という気概…改めて胸に刻む。
・変わっている子の指導…わたし自身の改造を迫られた。変わっている子にこちらが合わせる。教師の人間の幅を広げるチャンス。
・どんな内容のとき、どの程度のグループをつくってやると成果があがるか。といった、「グループ学習のしかた」を学習させる。

③「追究の鬼」を育てる
「追究の鬼」といわれる子どもは、自主性・主体性のかたまりのような子どもだと思われるかもしれないが、そうではない。 
子どもの追究を教師が認め、ほめ続けることでしだいに自主性が育ってきたのである。 
「追究の鬼」を育てることのできる教師は、一人ひとりの子どもの追究内容をしっかり認め、それをオーバーにほめることのできる人である。

有田先生でも悪戦苦闘をして、日々続けることによってしか子どもを育てることはできないと書いている。子どもを育てるための魔法の手立てなど存在しない。根気強い指導を心がけることで、子どもは変容する。
プロフィール

Teru3128

Author:Teru3128
小学校、特別支援学級の担任です。
今年度で教職14年目。
教師修業をぼちぼちと進んでいます。

本年度は、特別支援学級における「道徳授業」を追究する一年間です。
失敗から見えてくるものを大切に、授業実践の楽しさに浸っています。

そして、今年は有田実践からも学び広めていきます。

心を耕し、技術を磨いていきます。
よろしくおねがいします。

ありがとうございます!
ハッピー

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