帰納的か演繹的か
スモールステップで指導する場合、二つの方法が考えられます。
1 その活動・学習内容を細かく分けて、その一つひとつをできるようにしていく方法
・漢字テストに向けての練習において、50問あるので、毎日10問ずつ練習をしていく
・算数のかけ算の筆算において、一つずつ計算過程をできるようにしていき、正しく計算できるようにする。
・リコーダーの練習で、一小節ずつ練習をして、一曲吹けるようにしていく
こちらを帰納的な指導法と呼びます。
2 ある獲得させたい行動・学習内容を、少しでもできればOKというところから初めて、少しずつその「合格基準」を引き上げていく方法
・漢字テストに向けて練習で、50問プリントをやらせて、それを2回・3回とやっていくことで、書ける漢字を増やしていく。
・算数のかけ算の筆算において、ゴールまで計算させてあっているところ、できていないところを見つけていき、できていないところをできるようにして、正しく計算できるようにする。
・リコーダーの練習で、最後までやらせてみる。それを何度も練習することで、一曲吹けるようにしていく。
こちらを演繹的な指導法と呼びます。
さて、現実の指導は、どちらか一方ということではなく、両方の良さを合わせて取り組
んでいます。算数の筆算指導を例に挙げます。
1.まずは、やり方を最初から最後まで示します。
2.そして、一つずつ一緒に計算をしていきます。
3.解かせます。真似をしながら解かせていき、できているところを細かく○をつけます。
4.3を続けて最後まで解かせていきます。
5。自力で解かせていきます。「心配だったらできたところで見せにおいで」と伝えます。それと同時で、どこまでできているか、どこで困っているかを机間指導で確認します。
ゴールを見せることは大切な指導です。スモールステップで指導を進める際に、「ゴール
の見通しをもたせる」ということとセットで考える必要があります。
特に、その活動・学習内容の一時間目の指導は大切にします。子どもが失敗することが
少ない形で進めることと、楽しく少しずつ指導していくことを心がけています。そのため
には、「できた」を増やすことです。「できた」をたくさん味わわせるために、スモールス
テップは効果的です。
演繹的か帰納的かということで教育を述べましたが、両極を知っておくことで自分の指
導の立ち位置を確認することができます。個の成長か集団づくりか。規律か自由か。どちらかを選択することではありません。「今の自分はどちら寄りか」を知ることこそが指導に生きる考え方なのです。
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