指示をする時の留意点

指示についてポイントをまとめます。まずは教科書的なことからです。
大原則は、「指示を出した=指示が伝わったではない。指示が伝わった=相手が指示を聞き入れたとき。」です。指示を聞いてもらう手立てが必要なのです。

① その子の注意を十分ひきつけてから、指示する
 「その子の注意を十分ひきつける」ためには、二つのことをします。
 ⑴注意を十分ひきつける…「今から3つ話をします。」と言って、何が始まるのかを伝えます。「今から先生は話をするのだな。聞かないといけないな」という構えるためには準備の時間が必要です。「予告」をすることで、構えの準備時間となり、話を聞く構えを作り出すことができます。導入気のお子さんには、音で伝えたり、ぬいぐるみなどその子の注意を引きつけられるアイテムを使うことも効果的でしょう。
 ⑵気をそらすものをなくす…「手には何も持たないで」「机の上は何もいらないから片付けていいよ」と伝えることも大切です。また、教室掲示がさっぱりとしていることも、気をそらす要因となるものがないので、指示を聞くことができることにつながります。

② 指示ははっきり、具体的に分かりやすく
 「ゴミ拾いをしましょう」よりも「ゴミを10個拾いましょう」の方が、分かりやすい指示となります。「しっかり」「きちんと」という言葉を使わないで指示を出すということも大切です。「静かにしましょう」ではなく、「図書館に到着するまで静かにしましょう」と伝えると、子どもたちも頑張って静かに教室移動をするように努めます。指示が明確であるということは、子どもががんばれるということ・がんばる目標をもてるということです。子どもたちも頑張ることが明確になり、取り組み始めることができます。また教師は、評価がぶれずに褒めることができます。「子どが褒めてほしいことを褒めることができる」…適切なほめ方のためには具体的な指示がセットで考えると効果倍増です。

③ 重要なポイントはとくに強調する 「何がポイントか」「どこが一番重要なのか」が分からない指示が多すぎます。「教科書32ページを開けて。開けた人から立って。指読みをして音読を始めます。時間は2分。用意始め。」この指示をいきなり言われて理解が難しいお子さんが教室に入るのです。最初はひとつひとつ示すのです。
「すばやく並びましょう」と言われて、すばやく来たにも関わらず、教師は「きれいに並べていませんね」ということ、ありませんか。その先生にとっては「すばやく並びましょう」の中には、「すばやく、しずかに、自分たちできれいに整列する。整列ができたら、静かに座って待つ」までを含んでいた指示語だったのです。ここまで理解しろというのは酷です。
 朝の会で、「今日の3時間目はプールがあります。11:45分までに着替えを済ませてプール前に来てください。勝手にプールサイドに入ってはいけませんよ。あっ、着替える前にトイレに行くのを忘れずにね。」まさに情報の洪水に溺れてしまいそうです。④とも関連しますが、重要なことは黒板に書いておく。また、指示を分断して強調する部分を作ることも大切な技術です。今回の場合では、朝の会では「今日の3時間目はプール。休み時間に着替える」だけ知らせます。そして、休み時間になったら、「次の時間はプールだよ。トイレに行ってから着替えましょう。」と伝えます。子どもたちが来る前にプール前に一人教師がいればプールサイドに子どもが入るということは回避できます。

④ 言葉だけでなく、目で確認できるように
 音声言語だけでは伝わりにくいというのは、大人の世界でも普通のこととしてあります。やはり正確に伝えたいことは、音声だけでなく、書いて知らせるなど目で確認できるようにする手立ては効果的です。通常学級の場合は、多くの指示は全員に届く必要があるので、黒板に書いて一斉に伝えるということができます。しかし、支援学級ですと、異学年の児童生徒が一つの教室で生活しているという事情があります。黒板で伝えると、それによって、指示をつたえたつもりではない子も「黒板に書いてあったから」とその指示に従ってしまう場合も出てきます。指示内容によって、どのように伝えるとよいのかを教師は適切に判断することが必要です。黒板に書く、付箋に書いてその子に渡す、該当学年の児童生徒を別に呼んで伝えるなど、適切に伝えられる手立てを講じていくことが必要です。

 最後に「支援を減らす」ということを記します。
 具体的で分かりやすい指示に越したことはありません。しかしながら、全ての教師がそのようにできるわけではないのが現実です。また、社会に出たときに、学校現場のような支援が適切に受けられるかという問題も出てきます。
 指示一つにしても、理解ができるようになったら、「支援を少しずつ減らしていく」ということも、大切な支援だと私は考えます。具体的なものから抽象的なものへ、単純なものから複雑なものへとレベルを上げていき、その指示が伝わっているかを評価するのです。

 「支援を減らす」…このことはなかなか理解されないところです。「子どもが適切に動けているのなら今の状態でよいのではないか」と考える人もいるでしょう。それこそが、いけないのです。一人の教師の指示で子どもが動ける…子どもを育てるとは、そういうことなのでしょうか。他の先生や大人の話でも考えて動ける。そして、指示がなくても状況を自分で判断をして行動ができる。私たちがねらうところはここではないでしょうか。私たちは指示待ち人間・ロボットを作っているのではありません。自分で自由に思考して行動できる人間を育てているのです。
 「支援を減らす」支援をするためには、子どもを育てる年間計画をもつことが必要になります。行き当たりばったりで進めることは危険です。どの段階でどのような指示で動けていたらOK。次の段階へ進むにはこの支援を減らしてみよう、と計画的・戦略的に向かっていくことが大切なのです。
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○つけ法は、支援を要する児童生徒にも効果的である

 志水廣先生が提唱されている「○つけ法」というものをご存じでしょうか。

「志水式○つけ法」は、机間指導のときに、赤ペンで子どもの思考の表れを同時に評価して指導する技法である。一人ひとりに対して個別アドバイスする方法である。
 ○つけ法は、子どもの思考過程を見て、瞬間に評価して、その思考過程に応じた助言をしようというものである。
(志水廣論文「問題解決型授業を促進する○つけ法・意味付け復唱法」より)

私は通常学級担任時に、この技術を知り、自分なりに実践してきた。
 その方法を支援学級の担任になってからも取り入れた。そして○つけ法の効果を得ることができた。
 例えば、「わり算の筆算」の練習においてである。
 「できたら、ノートを持ってきてください。」という指示だと、次のようなことが起きる。
  
❶やり方が分からない。忘れてしまって、取りかかることができない。
  ❷「こう進めばいいだろう」というやり方が間違っている場合そのまま進めてしまう。
  ❸計算が成り立たず、先に進めることができない。
  ❹やり方は合っていて、計算も正しい。しかし、商をいくつにすればいいのか、途中で挫折してしまう。

 これらについて、「○つけ法」を使うことで、次のような支援ができる。

  ①やり方の復習・確認の必要性(これ以上、自分で進めさせることは今は難しい)ということをつかむことができる。やり方なのか、3年生レベルのわり算が分かっていないのかを捉えて指導ができる。

  ②このまま進めていって、教師から×をもらったら、おそらくやる気をなくすだろう。早い段階で復習・確認の指導に入ることができる。それによって、必要以上に自信を下げない効果がある。

  ③計算ミスを早期に発見できる。この場合「やり方は合ってる。ここの計算だけが違う」と、ヒントを含めた部分否定の言葉かけとなる。全部やってからだと、どこで間違えたのかを把握するのに時間がかかったり、教師が安易に「まちがってるよ」と×をつけ、どこがどう間違えてこの答えになっているかを指摘されないこともある。これでは、子どもは動けない。

  ④「わり算の筆算」においては、商をいくつにすればよいのかで、何度も計算をし直す必要が出てくる。そこで求められる教師支援は、その子への勇気づけである。正しくできているか・つまづきはどこかを教師が確認できていれば、「合ってる。その調子でやればできる」と声かけができる。その子は今やっていることが正しいのか否か不安なのである。「合ってる」という一言が子どもを動かしていく。その言葉が言えるかどうかは、教師がその子の思考過程を見えていることである。

 「○つけ法」によって、全否定をすることが減る。「ここまではできている。」という声かけが可能になる。子どもたちは自分の計算が合っているか不安の中で練習に取り組んでいる。その思いに寄り添い支えることができるのが、この「○つけ法」の最大の効果であると私は考えている。この勇気づけは教師への信頼とつながる。授業で学級づくりができるのだ。また、「ここまではできている。」ということは同時に「ここから、がんばればできる」ということを示している。学習意欲を持続させ、取り組ませることができる。「最後までがんばる」という心を育てることにもつながるのだ。

 「○つけ法」により子どもたちはがんばり続けることができる…声を大にして言いたい。

ネームプレートの活用

 私の勤務地では、意見を板書に記すだけでなく、ネームプレートを使って、誰の意見なのかを示しています。
 授業のユニバーサルデザインを提唱している村田先生は次のように言います。

板書でぜひ行いたいのが、意見に児童名を添えて板書することです。
 発達障害の子どもたちの中には、自分の学習に自信がもてない、どのように学べばよいのか、どのように表現すればよいのかが分からない子どもがいます。
 その子たちには、認められた、ほめられたという気持ちが必要です。
 もちろん、それは、発達障害の有無にかかわらず、どの子にとっても必要です。
 自分が発表した意見が板書されるだけでも十分にうれしいことです。
 そこに、自分の名前が添えられ、「○○さん方式」などと命名されたら、どんな気持ちになるでしょう。
 自分の考えが仲間に認められ、仲間の役に立つ、その喜びを板書を通じて味わわせたいものです。     (村田辰明『社会科授業のユニバーサルデザイン』東洋館出版社、2013)

 支援を要する子どもたちは、話し言葉を覚えていることはなかなか難しい。しかし、板書に意見が描かれていると、「△△という意見につけ足しで~~」と発言をつなげて話すことができます。
 さらに、ネームプレートによって誰が発言した意見かがわかるようになっていると、黒板を見ながら、
「○○さんの△△という意見とちょっと違って~」という話し方ができるようになります。
そして、「○○さん」と名前が飛び交いながら意見が出てくるので、聴く意識をもつことができ、意見の出し合いではなく、聴き合いの授業となっていきます。
 また、友達の意見を使いながら、自分の考えを深めて書くときにも、ネームプレートのある板書は助けになります。
 このように「話す」「聞く」「書く」という活動において、ネームプレートの貼られた板書は有効な支援ツールとなるのです。

 ネームプレートは、教師が使うだけではありません。子どもたちが使うこともできます。
係を決める際に、設ける係を出し合って板書に書いたのち、「どの係を希望しますか。ネームプレートを貼ってきてください」と言えばいいです。子どもたちが黒板前に来て、自分のネームプレートを貼ります。それで何がやりたいのか意見表明となります。
 さらに、「ごんのこの気持ちに賛成ですか。反対ですか。ネームプレートを貼りに来てください」と伝える。子どもたちの考えの分布をすぐに知ることができます。
 そして、これらは教師だけでなく子どもたちも見ることができます。全体の分布を見ていくことで、意見を変える子も出てきます。これは意見を変えてよいのかを確認したうえで、そのことを認めていくことができます。
 「ネームプレートを貼りに来る」ということは小さな動作となります。授業のなかに小さな動作を入れることで集中の持続につなげることができます。また、言葉を発することが苦手であったり難しい児童も「ネームプレートを貼る」ということで、自分の意見を伝えることができたということになります。教師は、その動きを認めることができます。言葉を発することが難しい児童も聴き合いの授業に参加することは可能なのです。

休み時間の子どもの姿から授業のヒントを得る

休み時間に、先生方はどのような行動をしていますか。休み時間は授業のヒントが詰まっていると私は考えます。
休み時間には、次のような姿が見られ、そこから考えていけることがあります。

・その子の好きなもの、夢中になっているものを知ることができる…読んでいる本、遊んでいるもの、話している内容から
・トラブルに対応する手だてを指導することができる…学校生活での課題、友だち同士のトラブル、
  交流学級児童との関わり
・意図的に級友と関わる時間をつくっていく…一人で過ごすことが多い。

 子どもたちの好きなものから授業をつくっていけば、子どもたちの意欲は高まっていくというのは、心理学的にも正しいものです。
 トラブルに対応することは、最も身近で効果的なSSTになると考えます。SSTの実際は、この休み時間で適切な行動がとれるかにかかっているのです。
 自閉症・情緒等学級では特に、一人で過ごすことが好きなお子さんもいます。しかし常に、その状態でよいわけではありません。折り合いをつけながらも、みんなで取り組む機会でも行動できることが社会に出ていくためには必要なことなのです。学校という集団生活の場でしか、その力を養うことは難しいのです。

 休み時間は授業のヒントの宝庫であるという、もう一つの理由は、「休み時間の子どもが素に近い状態である」からです。素の状態であるので、無理がないのです。不必要に飛び越えるハードルが少なければ、授業に切実感が伴ってきます。自分のこととして考えていくことができるのです。教科書の教材や、子どもの実態を見定めた上で、「これならいけるぞ」と思って授業を始めても、子どもたちはのってこないという経験は何度もあります。やはり、こちら考える子どもの切実感と、子ども自身がもつ切実感には大きな差があるのでしょう。それを埋めるための努力も必要ですが、子どもたちから直接学ぶことも大切です。子どもの姿に、子どもが今観じているもの・心が動くものがあるはずなのです。

 「休み時間が授業のヒントの宝庫」と考える教師は、休み時間を大切にすることができるでしょう。授業延長などもってのほかと考えるようになるでしょう。そして、休み時間を大切にしてくれる先生のことを子どもたちは大好きになります。夏の暑い中、よくわからない授業をしているよりは、さっと切りをつけて「もう、休み時間!」と宣言してしまった方が、子どもにも教師にも精神衛生上よいときもあるのです。休み時間を長くすれば、子どもたちの素の姿を見ることができる」でいいと思うのです。授業のヒントは見つからなくても、子ども理解には必ずつながっていくからです。

 だからといって、休み時間にじーっと、何か獲物をねらうかのように子どもを見るのはやめましょうね。子どもが自然の姿ですので、こちらもできる限り自然な感じで子どもたちと接することで、素の表情を見つけることができるでしょう。「授業のヒント、見つかったら、儲けもん」ぐらいのスタンスの方が、多くの気づきを得られることでしょう。子どもから学びましょう。子どもに教えてもらいましょう。素の姿の子どもたちは多くのことを教えてくれると思いますよ。

学校生活における「日常生活の指導」

特別支援学校の指導要領には、「領域・教科を合わせた指導」というものがあり、その中に「日常生活の指導」があります。

児童生徒の日常生活が充実し、高まるように日常生活の諸活動を適切に援助する指導の携帯。この指導では、いろいろな領域や教科にかかわる広範囲の内容が扱われる。(文科省HP)

 例示されているものとして、「衣服の着脱、洗面、手洗い、排泄、食事、あいさつ、言葉づかい、礼儀作法、時間を守ること、などがあげられています。
 さて、これらの指導は時間を設けて、取り出し指導も可能ですが、それ以上に、「生活の流れに沿って、実際的な状況下で指導を行う」ところに、この指導の本質的な正確があり、私もこのように指導を進めることが大切であると考えます。
 そのため、学校生活の流れの中で、どの時間にどの指導ができるかを見定めておく必要があります。

登下校…信号に従って歩く。靴の履き替えをする。班の約束・時間を守る。あいさつ。
 用便…尿意・便意を告げる。ズボンやパンツを下げたり、脱いだりする。便所へ行き、用を足す。後始末をし、服装を整える。用便後、手を洗う。生理の処置。
 朝の支度…持ち物を出して、指定された場所へ片づける。流れに沿って行動できる。
 係の仕事…自分の役割を忘れずに行うことができる。
 給食…手を洗う。箸の持ち方、こぼさないように食べる。行儀よく食べる。食後に口の周りを拭く。好き嫌いをしないで食べる。
 衣服の着脱…前後ろの確認。ボタンをとめる、シャツが出ていない、名札をつける、
衣服をたたむ。寒暖に合わせた衣服の調節
 掃除…机・椅子を移動させる。ほうきで掃く。ぞうきんがけ。ごみ拾い。

このように学校生活の流れから日常生活の指導に関わるものを列挙すると、多くのことがあることに気づかされます。日々の生活の中で指導を続けていくことが必要です。なぜなら、日常生活の指導は、毎日反復して行い、その指導を通して望ましい生活習慣の形成を図っていくことが求められるからです。また、現実度が高く、指導の必然性が明確であるので、子どもたちに「ちゃんとやらないといけない」という動機付けがしやすいものであるといえます。
 日常生活の指導においては、保護者との連携が不可欠です。登下校については保護者似見ていただく必要が出てくるかもしれません。手洗いの指導が必要なら、ハンカチを持ってくるように用意をしてもらわなければなりません。食事指導では、学校で進めていることを家庭でもお願いすることがでてくるでしょう。家庭との連携なくして、日常生活の指導の効果をあげることはできません。
 日常生活の指導は、子どもたちが生きる社会と直結したものです。だからこそ指導の重要性はどれだけ言っても足りないと考えます。ある意味では教科指導以上に大切なことだと考えます。子どもたちが社会へ出ていくためには、日常生活の諸活動を自力で処理できることが必要です。そして、日常生活をより自立的・発展的に行うための生活意欲や生活態度を育てていくことも、社会で生きるためには不可欠な力です。子どもたちが社会へ出ても困らないようにするためにできることが、日々の学校生活の中にもたくさんあります。教師の適切な指導によって、子どもたちが自信をもって社会参画できるようにしていきましょう。              (参考:『日常生活の指導の手引き』文部省 平成6年)
プロフィール

Teru3128

Author:Teru3128
小学校、特別支援学級の担任です。
今年度で教職14年目。
教師修業をぼちぼちと進んでいます。

本年度は、特別支援学級における「道徳授業」を追究する一年間です。
失敗から見えてくるものを大切に、授業実践の楽しさに浸っています。

そして、今年は有田実践からも学び広めていきます。

心を耕し、技術を磨いていきます。
よろしくおねがいします。

ありがとうございます!
ハッピー

ジオターゲティング
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